1969年(昭和44年)11月16日、紅葉の盛りの足尾線を友人と訪れました。現在、第3セクター「わたらせ渓谷鉄道」として運行されている桐生〜間籐間44.1kmの国鉄足尾線は 、足尾銅山の輸送のための路線で、当時は国鉄制式蒸気機関車で最も小さなC12で牽引されている貨物列車も運転されていました。渡良瀬川の渓谷美を車窓から楽しむことが出来、特に、秋の紅葉は見事でした。
下り間籐行キハ30(先頭)とC12牽引下り貨物列車 神土 1969-11-16
桐生駅から8駅目の神土(ごうど)駅で降りました。現在、神戸(ごうど)に改称されましたが、国鉄時代は東海道本線神戸駅と重なるので、このような文字を当てたと言われていました。下り間籐行のキハ30をC12263牽引の下り貨物列車が退避していました。
ここから下り方向の神土〜草木〜沢入間は草木ダムの建設により、渓谷に沿った線路は現在、草木湖と称されているダム湖に沈みますので、別線が建設される予定になっていました。この前に廃線区間の紅葉に映える足尾線を撮ろうというわけです。
C12263牽引下り貨物列車 神土 1969-11-16
C12263 神土 1969-11-16
C12は簡易線用1C1タンク形蒸気機関車で、B20を除き、最も小型軽量でした。1969年当時では、本務機として列車を牽くことは少なく、足尾線の貨物列車は稀有な存在でした。
沿線に詳しいTSさんに案内してもらい、神土〜草木間で、すこし、撮りました。
C127牽引下り貨物列車 神土〜草木 1969-11-16
土運車(ロ)リム500を牽いてC127が黒煙を上げて奮闘していました。
渡良瀬川の渓谷に沿って登るC12牽引下り貨物列車 神土〜草木 1969-11-16
渡良瀬川左岸のダム工事用道路で渓谷を見下ろせるところで、右岸を行く列車を撮りました。ダム工事用道路は共用開始前で、立ち入ることが出来ました。
C12牽引の下り貨物列車が登ってきました。黒煙を高々と上げて頑張っています。やがて、第一渡良瀬川橋梁に差し掛かりました。
背後の山の中腹には国道足尾街道が見えます。山肌の伐採跡はダム本体工事のためのものです。
渡良瀬川の渓谷に沿って走るC12牽引上り貨物列車 神土〜草木 1969-11-16
上りり貨物列車が来ました。C12は逆位(バック)で牽いていました。
第1渡良瀬川橋梁を渡る気動車 神土〜草木 1969-11-16
気動車が来ました。旅客列車はキハ30を主体とした気動車で運転されていました。
1973年(昭和48年)に草木ダムが完成し、この区間は草木トンネル経由の新線経由になり、草木駅も廃止になりました。
同じ年に足尾銅山は閉鎖され、その後も輸入鉱石により精錬が続きましたが、1986年(昭和61年)にはそれもなくなり、足尾線による鉱石、精錬用硫酸の輸送も廃止されてしまいました。
1989年(平成元年)に第三セクター「わたらせ渓谷鉄道」に転換され、これらの風景も過去の思い出の1頁になりました。
(謝辞)
このページ作成にあたり、友人のTSさん、MTさんの多大なるご協力を頂きました。謝意を表したいと思います。
(2010-2-27)
(2016-9-24)更新