奥羽本線大館から同和鉱業小坂鉄道が出ていました。1963年(昭和38年)ゴールデンウィークの鉄道訪問旅行で訪ねた中では、ローカル色豊かな他の私鉄とは趣がかわっていました。
花岡線(大館ー花岡間)4.8km、小坂線(大館ー小坂間)22.3kmがあり、かっては、762mmゲージでしたが、1067mmに改軌しました。特に、小坂線は前年1962年(昭和37年)に改軌したばかりでした。 花岡線16往復、所要約10分、小坂線9往復、所要約46分でした。早速、小坂まで、新品のスマートなディゼルカーに乗車しました。
広い小坂駅構内 1963-4-30
小坂駅は広いヤードを持っており、貨物輸送が主体であることが分かります。
キハ2100形、キハ2101+キハ2102 小坂 1963-4-30
キハ2100形、車内 1963-4-30
キハ2100形は1962年(昭和37年)日本車両で製造された液圧式全鋼製気動車です。車長20m、セミクロスシートの当時の最新型気動車で、小田急の御殿場線直通用気動車に似ているように思いました。小坂線、改軌に伴い、新製したもので、小坂線の列車は殆どこの車で運転されていました。
DC1+ホハフ50+ホハ52 小坂 1963-4-30
キハ2100の予備車的存在であったと思われますが、L型ディーゼル機関車と客車2両が小坂駅構内に留置されていました。DC1は1951年(昭和26年)に1067mmに改軌された花岡線用に製作された機械式ディーゼル機関車です。ホハフ50は同じく同和鉱業が経営していた片上鉄道(岡山県)から花岡線改軌に伴い、譲り受けたオープンデッキ付半鋼改造ボギー客車ですが、元は明治37年、山陽鉄道、兵庫工場という歴史のあるものでした。ホハ52は国鉄から譲受された木造ボギー客車です。この2両に客車は訪問した年の12月に廃車になったようです。
小坂鉱山鉄道 1963-4-30
小坂駅に隣接して、762mmゲージの鉱山鉄道がありました。信号機の高さが異常に低く、電化されおり、鉱山用の小さな電気機関車が貨車を牽いていました。
小坂鉱山鉄道の電気機関車 1963-4-30
この機関車はポール集電のようですが、そのポールが架線から離れています。旗ざおのようなポールを二人で、必死に持ち上げているように見えます。
1985年(昭和60年)に花岡線廃止、1994年(平成6年)に小坂線の旅客営業が廃止されました。鉱山が廃坑になれば、その関連の鉄道の運命は決まってもののようです。
参考文献
鉄道ピクトリアル、通巻160号 1964年7月 臨時増刊 私鉄車両めぐり第5分冊 「小坂鉄道」
(2006-3-30)
(2016-9-28)更新
(2023-5-1)2100形車内画像追加