1963年(昭和38年)1月、鉄道ファンの仲間の会の新年会を伊豆で持ち、その足で、御殿場線を訪れました。既に、殆どの列車は気動車で運行されていましたが、本邦最大の貨物列車用蒸気機関車D52もまだ、活躍していました。
D5262牽引上り普通旅客列車国府津行916レ 松田駅 1963-1-28
D52は旅客列車も牽引していました。日中の列車はほとんどが気動車でしたが、上り916レ、下り917レの一往復はD52が客車を牽いて走っていました。おそらく、D52が本務機として旅客列車を牽引したのは御殿場線のみでしか、見られなかったと思います。
松田駅を発車、国府津に向かう916レ 松田駅 1963-1-28
松田駅を発車した916レは小田急をオーバークロスします。前方に腕木式の信号機が2本並んでおります。左側は小田急との連絡線用です。
松田駅を発車する5102準急「銀嶺」新宿行2702Dレ 松田駅 1963-1-28
当時も小田急新宿からの御殿場行の準急が運転されていました。小田急の気動車キハ5000形、キハ5100形が使用されていました。小田急線では「特別準急」と称し、御殿場線内も小田急の乗務員が担当していました。小田急との連絡線のポイントは傍で手動で切り替えていたようで、ポイントの近くに駅員がおりました。
小田急との連絡線に向かう準急「銀嶺」 松田駅 1963-1-28
小田急との連絡線に入る準急「銀嶺」 松田駅 1963-1-28
小田急との連絡線を進む準急「銀嶺」 松田駅 1963-1-28
準急「銀嶺」はそろそろと連絡線を通り、小田急線に入りました。
連絡線の横を走る小田急1400系3連上り普通電車 松田駅 1963-1-28
連絡線の下の小田急、小田原線の上り線を御殿場線とアンダークロスをした小田急1400系普通電車が走って行きました。
小田急新宿発御殿場行準急「長尾」5101と下り貨物列車牽引D5272 松田駅 1963-1-28
小田急新宿から御殿場に行く準急は4往復運転され、それぞれ、「銀嶺」「朝霧」「芙蓉」「長尾」と名付けられていました。これらの列車は松田駅では、御殿場行も上り線用の1番線に着きました。2番線には貨物列車を牽引のD5272が待っていました。小田急5100形気動車と並ぶとD52のボイラーの太さが分かります。
松田駅を発車するD5272 松田駅 1963-1-28
松田駅を発車するD5272 松田駅 1963-1-28
準急を先に通し、D5272は出発してゆきました。この機関車は御殿場市に保存されているようです。
御殿場線のD52は首都圏で残るただ一つの大型蒸気機関車でした。御殿場線は1968年(昭和43年)に国府津〜御殿場間が電化され、小田急からの乗り入れ準急もSSEによる電車運転になり、その姿を大きく変えました。
(2010-6-22)
(2016-10-28)タイトル更新