鹿児島の市内電車は熊本市電と共に鹿児島市交通局が運営する市電でした。1928年(昭和3年)に鹿児島電気軌道を引き継ぎ、市営になりました。

 で、 5月1日には鹿児島に達しました。

総延長19.4km、架線電圧DC600V、ゲージは1435mmでした。

 

乗換券           

普通乗車券

 

 現在の鹿児島市電より規模が大きく、柿本寺ー伊敷町(上伊敷)、市役所前ー清水町の路線もありました。運転系統は次のようでした。

    1系統;鹿児島駅ー高見馬場ー郡元ー西鹿児島ー高見馬場ー鹿児島駅

    2系統;鹿児島駅ー高見馬場ー西鹿児島ーー郡元ー高見馬場ー鹿児島駅

    3系統;清水町ー高見馬場ー郡元ー西鹿児島ー高見馬場ー清水町

    4系統;清水町ー高見馬場ー西鹿児島ーー郡元ー高見馬場ー清水町

    5系統;上伊敷ー高見馬場ー郡元ー西鹿児島ー上伊敷

    6系統;上伊敷ー西鹿児島ーー郡元ー柿本寺ー上伊敷

   11系統;鹿児島駅ー高見馬場ー郡元ー谷山 

   12系統;朝日通ー高見馬場ー西鹿児島ー郡元ー谷山

   13系統;鹿児島駅ー高見馬場ー上伊敷

 面白いのは、1から6系統で、高見馬場ー西鹿児島駅ー郡元ー高見馬場(もしくはこの逆)のループを通り、出発点に戻るようになっていました。

 

301形、307        西鹿児島駅前   1964-5-1

 

 先ず、西鹿児島駅前で行き交う電車を撮りました。 

 鹿児島市電も他の地方都市の市内電車と同じく、戦前からの単車の淘汰が戦後の急務で、訪問時(1964年5月)ではそれがなんとか、達成出来たようで、全て、ボギー車で運転されていました。

 301形は初めてのボギー車として、1949年(昭和24年)に東京都電より、旧王子電軌の木造車を譲り受けたものを、鋼体化改造したものでした。

 

401形、416        西鹿児島駅前  1964-5-1

 

 301形は引き続き、1950−53年に東京都電より、4000、4100、4200形の鋼体化改造で、不要になった木造車体を譲り受けたものとのことです。

 

401形、416        西鹿児島駅前  1964-5-1

 

 4000系の車端を絞ったスタイルは、戦前から、たくさん走っていた都電のイメージがありました。幼いとき、祖母に連れられて巣鴨のとげぬ地蔵にお参りしたとき、見かけたようなおぼろげな記憶 の中にある電車でした。鹿児島で再会して懐かしい感じがありました。鋼体化改造に伴い6000形と同じスタイルに、4000系もなって終いました。

 

401形、409        西鹿児島駅前   1964-5-1

 

 401形も鋼体化改造が進んでおり、この409は501形と同じ、スタイルの車体を乗せていました。

 

501形、505        西鹿児島駅前   1964-5-1

 

 501形は鹿児島市電最初の新製車として、1955−6年に製作されたもので、都電7000形がベースになった設計とのことです。

 

601形、612        西鹿児島駅前   1964-5-1

 

 601形は501形に続き1959−60年に新製された全金属製電車です。東京都電とのくびきがこの電車ではなくなり 前面は大阪市電2600、3000形に似ていました。しかし、車端が絞り気味なところとグリーン系濃淡のツートンカラーは都電7000形と通じるところがありました。

 

601形、605        竪馬場   1964-5-1

 

 このグリーン系の色は好ましい色でしたが、汚れが目立つところが玉にキズでした。桜島の火山灰も汚れの原因であったかもしれません。

 清水町に向かう途中、岩崎谷ー長田町間で鹿児島本線をオーバークロスしておりました。ここで、少し、写しました。今はもうありません。

 

461形、461    長田町ー岩崎谷       1964-5-1

 

 461は401形を更新する代わりに601形と同じもの新製したとのことです。

 

401形、415    長田町ー岩崎谷       1964-5-1

 

601形、602    長田町ー岩崎谷       1964-5-1

 

D51127牽引の貨物列車      西鹿児島ー鹿児島 1964-5-1

 

 市電の下の鹿児島本線をD51に牽かれた貨物列車が行きました。

 

 現在、ユニークなLRVも走り、注目を浴びていますが、40年前には、一寸、違った姿がありました。

 

  参考文献

  鉄道ピクトリアル1962年8月号臨時増刊通巻135号 私鉄車両めぐり<第3分冊>鹿児島市電 

 

(2007-4-12)
(2016-10-30)タイトル更新
(2020-12-18)撮影年誤謬訂正
(2022−4−6)系統誤謬訂正


 


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