B6と称する有名な明治の古典機関車がありました。C1形タンク機関車で、1890年(明治23年)にイギリスより輸入した2100形が元祖でありますが、1898年(明治31年)から1905年(明治37年)に同系の2120形が大量に作られました。これもB6と称されましたが、そのうちの2両が小名浜臨港鉄道で活躍しておりました。
1959年(昭和34年)10月に大学の鉄研の仲間と東北鉄道の旅に出かけました。その初日10月16日の終わりに小名浜臨港鉄道を訪れました。
小名浜臨港鉄道(現 福島臨海鉄道)は常磐線泉駅と小名浜、栄町を結ぶ、6.2kmの1,067mmゲージ、非電化、沿線の工場や小名浜港への貨物輸送主体の鉄道で、当時は栄町〜江名間の江名鉄道もありました。貨物列車にはもっぱら国鉄から譲受した蒸気機関車が使われておりました。
C508牽引の貨物列車 小名浜 1959-10-16
C508牽引の貨物列車が小名浜駅に入ってきました。C508は元国鉄B6、2120形、2256号機で、1905年(明治38年)、英国、ノース・ブリテッシュ社製で、1956年(昭和31年)に小名浜に来ました。
C509牽引の貨物列車 小名浜 1959-10-16
C509を先頭にした上り貨物列車が出発を待っておりました。
C509 小名浜 1959-10-16
C509のサイドビュー 小名浜 1959-10-16
C509も元国鉄B6,2120形、2359号機です。
C509の製造銘板 小名浜 1959-10-16
NORTH BRITISH LOCOMOTIVE, GLASGOW 1905年製の製造銘板が付いていました。
C358牽引の貨物列車 小名浜 1959-10-16
C358は貨物の入れ替え作業中のようです。
C358 小名浜 1959-10-16
C358は元神中鉄道、3号機で、相模鉄道と合併し、国鉄に買収された後に、1952年(昭和27年)に小名浜に来ました。1926年(大正15年)汽車会社製。
B271 小名浜 1959-10-16
B271は小名浜臨港鉄道の1号機ともいうべき機関車のようですが、既に1952年(昭和27年)に廃車になり、機関庫の側線に留置されておりました。1898年(明治31年)米国ピッツバーグ社製、徳島鉄道甲No.1で国有化後、いろいろ渡り歩き、1941年(昭和16年)の1,067mm改軌前に小名浜に来たようです。
C512 小名浜 1959-10-16
C512は参宮鉄道3形10号機として、1907年(明治40年)に米国ボールドウイン社で製造された1C1形で、国有化後、小倉鉄道を経て、1942年(昭和17年)に小名浜に来ました。1952年(昭和27年)に廃車になりましたが、機関庫に留置されておりました。
キハ101 小名浜 1959-10-16
旅客列車はディーゼルカーで運転されておりました。キハ100形、キハ101〜3の3両が居ましたが、それぞれ、来歴が異なっておりました。キハ101は国鉄キハ41000形、キハ41039、1934年(昭和9年)汽車会社製、1950年(昭和25年)に国鉄より、購入したものです。
キハ102 小名浜 1959-10-16
キハ102は元中国鉄道キハニ120で、国鉄に買収されたものを1951年(昭和26年)に購入したものです。購入後、荷台の撤去、車体の延長と荷物室の撤去の2度に渡る更新改造が行われ、その時、前面4窓になったようです。このためか?真中の2つの窓が小さく、しかめ面をしておりました。
訪れた証拠の乗車券です。
小名浜のB6は1956年(昭和31年)に入線したとのことで、そのとき既に、製造後、45年経っていましたが、未だ、充分元気に走ることが出来たのでしょう!C509は1963年(昭和38年)に、C508は1966年(昭和41年)に廃車になりました。
神中鉄道3号機のC358は廃車後、古巣の相模鉄道に戻り、静態保存されております。
小名浜臨港鉄道は1967年(昭和42年)に国鉄、県、沿線自治体、企業が出資した福島臨海鉄道になり、その5年後には貨物専業の鉄道になりました。
参考文献&ウェッブサイト
鉄道ピクトリアル 1966年7月号臨時増刊 通巻186号 私鉄車両めぐり第7分冊 高井薫平「小名浜臨港鉄道」
ヴィキペディアフリー百科事典「国鉄2100形蒸気機関車」
(2012-11-28)
(2016-11-4)タイトル更新