1958年(1958年)7月鉄研の夏季合宿として、初めて関西の鉄道を訪れました。ダイナミックに疾走する阪急などに圧倒され、モノクロですが多くの写真を撮りました。そのほとんどをホームページに載せてきましたが、漏れているものがありました。当時、神戸の兵庫駅から姫路まで走っていた山陽電気鉄道(山陽電鉄)は撮った数は多くはありませんが、ほぼ60年前の姿を留めておきたいと思い、載せることにしました。
神戸、電鉄兵庫行普通 200形206 須磨浦公園 1958-7
200形は1936年(昭和11年)川崎車両製流線形電車です。木造車の鋼体化改造車で主要用品は流用されているようです。広幅の2段上昇の側面窓を備えた軽快なスタイルでしたが、全面上部の2つの通風ギャラリーがアクセントをつけており、車長14.8mの小型車ですので、当時のファンからは「いもむし」と呼ばれていたように覚えております。登場時はブルーとクリームのツートンカラーであったようですが、訪れた時はマルーン一色であったと思います。
100形 須磨浦公園~須磨 1958-7
一段下降窓のより古い電車が須磨浦公園の中を走って行きます。
100形 123 姫路行普通 明石 1959-7
山陽電気鉄道は、兵庫~明石間を兵庫電気軌道(兵庫電軌)が1910年(明治43年)から建設し、明石~姫路間を神戸姫路電気鉄道(神姫電鉄)が1923年(大正12年)に開通させました。1927年(昭和2年)に宇治川電気が両社を買収し、その電鉄部となりました。そして、1933年(昭和8年)に独立して、山陽電気鉄道になったものです。兵庫電軌は軌道法で建設し、架線電圧DC600Vの路面電車に準じた路線であったのに対し、神姫電鉄は地方鉄道法適用の高速都市間輸送を目指したもので、架線電圧DC1500Vでした。
100形は宇治川電気が両社を買収し、神戸、兵庫~姫路間の直通運転を始めるために1927、28年(昭和2、3年)に作った電車で、DC600、1500Vの複電圧車で、兵庫電軌路線に合わせて、幅、2.6m、長さ14.7mの小型半鋼製ボギー車で、一段下降窓など、当時のスタイルの小型電車でした。
250形 253 姫路行特急 塩屋 1958-7
250形、253は神姫電鉄系車の車体更新車。1951年(昭和26年)川崎車両製。
250形 257 神戸、兵庫行普通 須磨浦公園~須磨 1958-7
250形257は1954年(昭和29年)川崎車両製の全金属製、張り上げ屋根のスタイルは、1956年(昭和31年)に登場した山陽電鉄初めてのWN駆動の高性能電車2000形に受け継がれたようです。
電鉄兵庫駅を出発する250形275 1959-7
山陽電鉄の神戸のターミナル、電鉄兵庫を出発すると次の西代まで、2kmの併用軌道を走りました。270形は100形の機器を使って、軽量全金属製ボディーの電車で、1959年(昭和34年)の訪問時、登場したばかりでした。
820形 821 姫路行特急 須磨 1958-7
820形は1948、49年(昭和23,4年)川崎車両で、全国の私鉄で戦後最初に作られた転換クロスシートを装備した特急専用車でした。コバルトブルーとイエロークリームのツートンカラーでした。以降の電車はこの色になりました。
以上、ほぼ60年前の山陽電鉄の姿をほんのすこし、ご覧頂きました。残念ながら、既に登場していた初の高性能電車2000形に会うが出来ませんでした。また、時に話題にのぼる1435mmゲージの63形、700形の姿を留めて置かなかったのも、今から思えば、心残りですが、これは敢えて撮らなかったようにも思います。
参考文献
鉄道ピクトリアル 1958年1,2月号、通巻78、79、私鉄車両めぐり、山陽電鉄
参考ウェッブサイト
ウィキペデイア、フリー百科辞典 「山陽電気鉄道」
(2017-8-18)