豊橋鉄道田口線(1965年)
飯田線の本長篠から豊橋鉄道田口線が出ていました。本長篠〜三河田口間22.6km、ゲージ1,067mm、電化(架線電圧DC1500V)、寒狭川に沿って最急勾配 33パーミルを登る山中を行く路線でした。段戸御料林をはじめとした木材運搬が主目的で、出資者に宮内省が名を連ね、1932年(昭和7年)に田口鉄道として全通したものです。
1965年(昭和40年)1月の成人の日の連休に訪れて少し撮りました。
訪れた年の9月に水害で一部不通になり、1968年(昭和43年)9月には全線廃止されました。
1月15日朝新宿を発ち、辰野で乗り換え、本長篠に到着した時には冬の日はとっぷりと落ちていました。接続の田口線電車に乗り、三河田口駅に達しましたが、田口の街は駅から4km程連絡バスで登らねばなりません でした。ここで、泊り、翌16日に三河田口駅に戻りました。
モハ30形 モハ36 三河田口 1965−1−16
終点とは言いながら、川に沿ったホーム1面1線です。うっすらと雪が積もっておりました。
モハ36が客を待っておりました。モハ30形、モハ36、37は田口鉄道開業時、製造したもので、川崎造船所製の深い丸屋根、お椀形ベンチレータを持った初期の全鋼車として有名な阪急600形などと同じスタイルですが、これは日本車両製の半鋼車でした。姉妹会社であった旧豊川鉄道モハ30形と同形でした。
モハ10形 モハ14 三河田口 1965−1−16
終端部に向かって、2線に分かれ、木材の積み出しホームがありました。ここにモハ14が居ました。
モハ10形モハ14,15は旧豊川鉄道モハ10形モハ14、15(大正15年、日本車両製)を国鉄より、譲り受けたもので、木造ボギー車です。なにか、予備車的な存在のようでした。
モハ30形 モハ37 三河海老 1965−1−16
モハ30形 モハ36 三河海老 1965−1−16
三河海老駅で、モハ37と列車交換をしました。山間の駅ですが、車庫もあり、当線の中心駅のようでした。
モハ30形 モハ36 本長篠 1965−1−16
本長篠に来ますと積雪もありません。全線15往復と鳳来寺までの3往復の区間運転があったようです。
木材運搬の貨物列車を牽く電気機関車デキ53が居たようですが、お目に掛れませんでした。
先を急いでいたようで、これだけのシーンしかありません。不便なところで、廃止が早かったせいか?あまり、写真も残っていないようでしたので、あえて載せました。宮内省が出資者というユニークな鉄道の姿をほんの少し、ご覧頂ければと思います。
参考文献
鉄道ピクトリアル1962年3月増刊 通巻128号 私鉄車両めぐり<第2分冊>豊橋鉄道
(2011-1-20)