上田交通(1986年)

 

 上田盆地を網羅していた上田丸子電鉄もはるか、昔の思い出になり、別所線だけが、別所温泉への足として走っておりました。上田温泉電軌が1928年(昭和3年)に初めて、別所線に投入した鉄道線用大型半鋼線電車モハ5250形の走る姿も終わりに近いと言われた1986年(昭和61年)3月、友人とその最後の姿を収めようと訪れました。

 

千曲川橋梁を渡るモハ5250形    城下〜上田     1986-3-16

 

上田原駅進入のモハ5251    上田原     1986-3-16

 

別所温泉駅を発車、勾配を下るモハ5251    別所温泉〜八木沢     1986-3-16

 

 モハ5250形、モハ5251形が頑張っていました。 1928年製ですので、58年走り続けていたことになります。丸窓電車として人気があり、今でも、別所温泉駅に静態保存されております。

 

千曲川橋梁を渡るモハ5271    城下〜上田     1986-3-16

 

千曲川橋梁を渡り別所温泉に向かうモハ5271形    城下〜上田     1986-3-16

 

 モハ5271形は元長野電鉄モハ612です。昭和初期に川崎造船で製作された本邦初めての全鋼車阪急600形を摸して長野電鉄が山之内線用に導入したものです。しかし、別所側の前面窓はHゴムで固定され、容貌が変わっておりました が、上田側は原型に近いようでした。これは長電時代、モハ611形はモハ531形と固定編成化され、湯田中寄りに連結されたモハ611は常時運転台を使用する湯田中側のみをHゴム固定窓にしたのではないかと推定致します。

 

モハ5372    下之郷〜中塩田     1986-3-16

 

モハ5372は元信濃鉄道の木造車モハ5363に小田急電鉄1650形の車体を載せ鋼体化したものです。

 

モハ5253  下之郷 1986-3-17              モハ5261   下之郷 1986-3-17

 

モハ5250形はモハ5251〜3の3両ありました。

モハ5261は 元長野電鉄モハ201です。モハ201は1933年製とモハ5251形より、5歳も若いのですが、ほぼ同じスタイルでした。しかし、車体の長さは16.5mで、より大型の電車でした。

 

 

元長野電鉄モハ611  下之郷 1986-3-17              モハ5271   下之郷 1986-3-17

 

 車庫には長野電鉄モハ611が留置されていました。この年の10月にDC1500V化され、この電車は使われなかったようです。元モハ612のモハ5271が傍らに居ました。長電のモハ611形はモハ530形と固定編成化され、常時はパンタを下し

クハとして使われていたようです。元々、40パーミルの勾配線を登るように作られたので、ギヤー比が大きく、鈍足であることから、平坦部を走ることが多くなり、嫌われていたのかも知れません。上田モハ5271となったモハ612は幸せであったのかもしれません。

 

 この年10月のDC1500V化のため、これらの全ての電車は廃車になってしまいました。

 

参考文献

  RM LIBRARY 73 74 宮田道一、諸河久著 上田丸子電鉄(上)(下)

 

謝辞

 このページ作成にあたり、翌檜鉄道さんから、貴重なインフォメーションを頂きました。

 深謝したいと思います。

  

(2010-8-8)



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