昭和39年当時、熊本電鉄での鉄道ファンのお目当ては、小田急創業時の電車が走っていることでした。

で、4月2 9日に熊本市電を撮り、阿蘇の南麓の温泉で一泊し、翌30日には熊本に戻り、熊本電鉄です。

 熊本の始発駅、藤崎宮前ー菊池間と国鉄との接続駅、上熊本ー 北熊本間の総延長26.6km、ゲージ1067mm、架線電圧DC600Vの電鉄線でした。

 

乗車券

 

 上熊本ー北熊本ー菊池を往復し、当時の電車にお目にかかりました。番号順にご紹介しましょう。

 

モハ51形  モハ51   菊池   1964-4-30

 

ホハ52形 ホハ52 北熊本  1964-4-30                              ホハ52形 ホハ52           1964-4-30

 

 モハ51形は1943年(昭和18年)に製作された木造車で、切妻の姿はモハ63のプロトタイプのような感じを受けました。もちろん、台車、台枠、電装品などは既存のものを使ったのでしょうが、太平洋戦争末期とは言え、このような、木造車を新製したと言うのは、 1943年(昭和18年)に地方鉄道に変更した時、沢山あった2軸車を淘汰するのが目的であったようです。電動車6両、付随車4両が作られたとのことですが、訪れた時は電動車はモ ハ51、1両のみで、他に付随車化された ホハ52だけを見かけました。モハ51は菊池駅の留置線におりました。車籍は工事車であったようですが、方向板も入れており、予備車として、運転されることもあったのかも知れません。ホハ52はモ ハ103に牽かれて、営業運転中でした。  

 

モハ71形  モハ72  北熊本   1964-4-30

 

モハ71形  モハ71  北熊本   1964-4-30

 

 モハ71形は国鉄可部線の前身、広浜鉄道の電車で、国鉄買収後、1954、1957年(昭和29、32年)に3両、譲受したもので、車長12m弱の小型で軽快なスタイルの車でした。主に、北熊本ー上熊本間に使われていました。モハ71は車庫の入れ替え用に現存しており、ファンの人気を得ています。モハ72は広島で被爆した被爆電車のようです。

 

貨車を牽くモハ101形、モハ103    1964-4-30

 

モハ103+ホハ52          1964-4-30

 

モハ101形、モハ102    1964-4-30

 

 101形も51形と同じく、2軸車淘汰のため、1943年(昭和18年)に日立で3両新製されたものとのことです。半鋼車、3扉、車長15.5mの当時の熊本電鉄としては最も大きい電車でしたが、腰板が高く、昭和初期のスタイルで、どこかの電車の車体を流用したのでは、無いかとも思われます。訪問当時は、藤崎宮ー菊池間の主力として、モハ301形と共に使われていました。

 

 

モハ121形  モハ121  北熊本   1964-4-30

 

 121形は1958年(昭和33年)に国鉄より、譲渡された元南武鉄道の電車です。1931年(昭和6年)製ですが、やや鈍重な感じで、2扉、それも両端部にあり、客扱いに問題があ ったのか?訪れた時は2両とも車庫におりました。

 

モハ301形  モハ304  北熊本   1964-4-30

 

貨車2両を牽くモハ303、上り藤崎宮前行     1964-4-30

 

泗水駅で列車交換のモハ303  1964-4-30

 

 モハ301形は小田急のデハ1100を1959年(昭和34年)に4両、譲り受けたものです。デハ1100は小田原急行鉄道開業の1927年(昭和2年)に近距離用として作られたもので、当時の標準的なスタイルでしたが、当時の熊本電鉄の車では、垢抜けた感じもしました 。如何でしょう? 藤崎宮前ー菊池間本線の主力として活躍していました。 

 


 

上熊本駅ホームで客を待つモハ71 宮さん撮影  1964-4-30

 

熊本電鉄上熊本駅  宮さん撮影  1964-4-30

 

 国鉄上熊本駅前の北端にささやかな熊本電鉄の駅がありました。電鉄のりばと菊池温泉行の大きな看板が目立ちました。一面のみのホームには北熊本行モハ71が客を待っていました。

 

北熊本駅ホームの藤崎宮前行(モハ101形)、菊池行(モハ303)、上熊本行(モハ71形)

 宮さん撮影   1964-4-30

 

北熊本駅         1964-4-30

 

 北熊本駅は上熊本行が分岐しており、車庫もある熊本電鉄の要衝です。

 

菊池駅ホームと発車を待つ藤崎宮前行デハ303   1964-4-30

 

菊池駅        1964-4-30

 

 終点、菊池駅はいかにも地方私鉄の終着駅という雰囲気がありました。

 

 現在、御代志ー菊池間は廃止になってしまいましたが、東急の青蛙旧5000形が、上熊本ー北熊本間に走っており、鉄道ファンの注目を集めております。

 藤崎宮前から熊本市電の水道町まで、併用軌道を新設し、熊本電鉄を改軌し、LRT化して、熊本中心部までの直通運転が検討されているようです。この計画が、不調に終わった場合、熊本電鉄全線廃止ということもあるようです。是非、LRT化を実現してもらたいものです。

 

  参考文献

  鉄道ピクトリアル1962年9月号136巻、10月号137号 私鉄車両めぐり(50)熊本電鉄

 

熊本電鉄廃線跡の探索は

 「歩鉄の達人」「廃線探索 熊本電気鉄道菊池線」

をご覧頂きたいと思います。

 

 

(2007-4-25)

(2011-1-17)訂
(2016-10-31)タイトル更新


 


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