今年、2022年4月15日のダイヤ改正で特急の設定が無くなりましたが、かっては富山~宇奈月間などに多くの急行、特急が走っておりました。このため、クロスシートを備えた電車を作り、高性能カルダン駆動車を国鉄より3年早く登場させました。近年、京阪、西武から御用済みの車を譲受して走らせるようになりましたが、かってはすべて自社発注車でした。その顔ぶれを概略見てみたいと思います。特急以外にも使われておりましたが、自社発注のクロスシート車をご覧ください。
モハ14750形
モハ14750形 モハ14753   電鉄富山  昭33-12

モハ14750形  貫通スタイル 早月加積 昭38-9
 モハ14750形は吊りかけ駆動車ですが、クロスシートを備えた電車の元祖的な存在です。昭和23年日車支店製、戦後の運輸省規格型とのことではありますが、長野電鉄1000、1500形とほぼ同じ均整のとれたスマートな電車です。マルーンとアイボリーのツートンカラーで、正面は流行の金太郎の腹掛けの塗り分けです。湘南電車80系の影響で、各地の私鉄で流行しましたが、古い電車にこの塗装を施すと田舎くさくなりましたが、この車は以外に似合っていました。ドア間クロスシートで、急行に主に使用されており、カルダン車と併結されることも多かったようです。昭和33年、34年に上市側に貫通扉取り付け 、アルミサッシ化などの更新が行なわれましたが、感じが大幅に変りました。
モハ14770形 モハ14770形 モハ14772 黒部線浦山駅 昭38-9
モハ14771+クハ171は昭和30年、日車支店製の地鉄最初の、高性能カルダン車、中空軸並行カルダン駆動です。扉間クロスシート、車端はロングシートです。この時期にカルダン車を入れたとは立派なものです。国鉄モハ90形(101系)登場の約3年前です。全面、非貫通3枚窓でどこか、14750形の面影を引き継いだ感じがあります。1958年にクハ171は電装されモハ14772になりました。電動機も同じ110kW、両運転台とモハ14750形とスタイルだけでなく、似通っており、他のカルダン車の増結用にも使われ、閑散期の「アルペン」特急に単行でも使われたことがあるようです。
1981年に14790形モハ14791・14792に形式番号が変更されました。14760形の増備に伴うものです。
 モハ14780形

モハ14781+クハ181 上市 1958-7


クハ181+モハ14781  上市駅進入 1958-7


モハ14783+クハ183 電鉄富山付近 1963-9


モハ14783+クハ183 電鉄富山に進入 1963-9
1955年に製造された地鉄初のカルダン車14770形(後に14,790形に改番)に続くカルダン駆動2次車として1956年から1958年にかけて各年2両ずつ、合計6両が製造された18m2扉車です。日車東京支店製です。初の2両固定編成を採用しております。モハ14780形+クハ180形の構成でした。前面が湘南電車の影響でしょうか?2枚になりました。最初の編成はヘッドライト1灯。以降は3灯になりました。側窓は上昇1枚窓でした。 電鉄富山駅に進入するモハ14783+クハ183の後尾には14750形が増結されているように見えます。2両では足りなかったようです。

モハ10020形

モハ10022(先頭)+サハ221+モハ10021 上市 1963-9


モハ10021(後尾)+サハ221+モハ10022 電鉄富山構内 1963-9

モハ14720形

モハ14720形 モハ14721+サハ222+モハ17722 宇奈月温泉  昭38-9  

モハ10020形は1961年に第1編成が作られました。Mc+T+Mc'のユニット編成で、電動機75kW 8台ををMc、Mc'に搭載。1台の制御器で制御する(1C8M制御)ものです。長野電鉄2000形と同じです。10020形は中空軸並行カルダン、長電2000形がWN駆動と異なりますので、地鉄がまねをしたということは無いと思われますが、参考にはしたとは思われます。
 1962年には伝統的な110kW電動機4台を搭載し、個別に制御する電動車2台に付随車をはさんだ14720形を作り、1964年にはまた10020形の第2編成、第3編成が作られました。この時代には2両編成では輸送力が不足であったので、3両編成を如何に経済的に作るか?地鉄に迷いがあったようです。
 しかし、モータリゼーションなどで、乗客の減少がみられたようで、1969年に20020形はMc+Mc’、24720形は付随車を制御車に改造しMc+Tcの2両編成になりました。

モハ14760形

                                             14760形モハ14761+モハ14762 電鉄富山
富山地鉄創業50周年にあたる1979~1981年に14両作られたMc+Mc’です。110kW4台装荷で1C8M制御をしております。モハ20020と同じ構成ですが、電動機を75kW でなく、110kWにしております。14750形以来の伝統でしょうか?最後の自社発注車です。


(2022-10-13)


 


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